SUさんという相棒 その2


 UさんはかつてテニスのUカップなるものを主催していたことがある。若い部下たちを出場させ、優勝者にU賞を進呈していたのだそうだ。八ヶ岳原村での本格的開催である。
「Uさん、テニスの腕もすごいのでしょうね。」
「見ている人間さえいなければ、俺のサーブは天下一品だ。」
お言葉通り、天下一品のサーブを見た人間はまだいない。Uさんは強がりとシャイさとが同居した人である。

 Uさんは今までインフルエンザに一度もかかったことがない。予防接種のワクチンは絶対に打たない。
「ウィルスの方が俺を避けるんだ。」はあ、そうですか。この人は病気も自分を避けて通ると信じているようである。入社以来、年一度の健康診断を断固拒否し続け、会社から警告を受けてしまう。ついに諦めて人間ドックを受け、その結果を医務室に提出した。担当産業医の女医さんが「やっとUさんが……」とうれし涙を流したとのことである。
 コロナのワクチンはきっと打たないだろうと思っていたら、今回はあっさりと接種した。考えが変わったようだ。

 Uさんとは時折展覧会に出かけるが、必ずミュージアム・ショップでかなりの時間を過ごす。買うのは図版などではない。ミニチュアやおもちゃのような、いわば役立たずのものばかりである。国立博物館では好きなものが出てくるまで何度も、真剣に、目を輝かせてガチャガチャをやっているのを目撃した。たしか小さい木の組み立て恐竜じゃなかったかしらん。
 旅好きのUさんからは、いろいろなお土産をいただく。ミュージアム・グッズが多い。鳥獣戯画の盃、どこかの神社の鈴、恐ろしく不安定な木の盃、四国巡礼の時も何かもらった。今度会ったら皇居の売店のお土産をくれるとのこと、さすが皇居、品質がいいそうだ。これを書いていて、旅嫌いの私は、何もお土産をあげていないことに気がついた。しかしこれは仕方ない。

 書くことが、すなわち変なことが沢山あり過ぎて、どこまでも切りがない。変をとったらUさんではなくなるのだが、変だけでも変である。その実像はぜひSU‘s blogであわせてご確認いただきたい。付き合うと面白い人である。

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