ぼさぎく その後のその後

 JAの直売店まで「ぼさぎく」さがしに出掛けた。
 あった、ラックの一番下のポットトレイの片隅に、ふたつだけ残っている。黄色と紫である。名札は「ぼさ菊」である。が、少々しおれかかっている。

 「白のぼさ菊はありませんか」
 「今年はもう終わりました。残っているものだけです。10月の初めころから出回ります。白は少ないですね。」
 「白が主流じゃないんですか」
 「黄が主流です。赤も多いですね。白の菊は葬式花だって嫌う人もいますから。」

 白い菊に失礼だ。そんな不吉な花ならば、亡き人の霊に備えるなどとんでもないことである。
 黄も赤も、今年はやめて、来年の白を目指すことにした。

 「最近はスプレーマムって言うらしいですね」
 「ぼさ菊とスプレーマムは違います。最近はいろいろなマムがあるのですが、似たり寄ったりです」

 確かにどれも同じに見える。しかしセロファンのラッピングなどもしてあり、値段もぼさ菊の何倍かしている。
ベルギーマム、ポットマム、いろいろなマムである。ベルギー菊、ポット菊でいいのに。

 スプレーは何菊と言えばいいんだろう。噴射菊、噴霧菊、どうもピンとこない。辞書で調べてみたところ

           spray  〔集合的に〕(葉・花・実のついた)小枝

という意味であった。

 小枝菊、これなら結構いける。たくさんに分かれた小枝に花をつけるからだろう。スプレーマムを買っている人は、スプレーのように花が咲き乱れる菊と思っているのではないか。私もそいう感じを受けてた。

 わがぼさ菊の知識、全滅であった。
 来年の10月を期したい。

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