アロエの花

　今年は年明けから葬儀が続き少々気持ちも落ち込んでいたのだが、それも終えた6日、庭に出てみて驚いた。アロエに花が咲いていたのである。年明けとともに花序が伸び始めたのだろう。気持ちも明るくなる。

　このアロエは、45年ほどほぼ「植え捨て」状態で、一度だけ鉢を大きくするために植替えてあげただけである。今の家に移った時に植替えようとしたが、鉢から抜こうとしてもびくともしない。仕方なく鉢が割れるまで放置することにしていた。手入れも真夏に水をあげる以外には何もしていないのだ。元来温暖地の植物だと思うが、南向きの白壁の前に置いたのがよかったのかも知れない。

　これまでアロエに花が咲くという話を聞いたことも、実際に目にしたこともなかったので、きっと珍しいことだろうと、インターネットで調べてみると、画像だけで1,490万点も出ている。伊豆下田では、「アロエの花まつり」さえ行われているとのことである。

　残念ながらありふれたものだとのことであるが、40年以上の「植え捨て」ながら、咲かせてくれたアロエの心を徳として、毎日鑑賞することにした。２か月ほどは花が咲き続けるとネットに出ている。

　毎日ほとんど変化がない。１週間ほどたって、花序の下から開花しはじめた。１日に１つずつ開いていくようである。開花すると垂れ下がる。特に美しいという感じはないが、すべてが開花すれば、それなりに美しいかもしれないと期待する。２か月もつのだ。

　などと思っていたところ、１月24日夜、寒波による暴風と寒さで、花はすっかり痛んでしまった。せめてビニール袋でもかけてあげればよかったのだ。

　遊びに来てアロエの花を喜んでいた孫が、嵐に傷めつけられているのを目撃して、小声でささやいていた。「ショボレボーン！」

　その後も復活する気配はない。残念ながら、今年はおしまいのようだ。

　来年も咲いてくれるだろうか。へたに手をかけないほうがいいかも知れない。